リュックサックとウンチとおひさまとお説教

リュックサックとウンチとおひさまとお説教

2019年5月7日(火)

息子くんへ。

 

今日幼稚園に迎えにいったときのこと。きみはお外で元気よくお友達と遊んでた。いつもだいたい帰りたくないと拒否るのだが、カバンを取りに行こうというと、きみは「オッケー」と言ってついてきた。ところが建物の中に入った途端きみは「ヴェンタ!」(待ってて!)と言ってみつぱっぱを制止。カバンを取りにちきゅう組のお部屋へ行きたいのだけれど、きみは自分で取りに行くといってきかない。

 

「わかった、じゃ行っておいで」と言ってきみを送り出したみつぱっぱは、こっそりそのあとをついていく。でもそれがバレるたんびにきみは「ヴェンタ!」と言って手のひらをこっちに出して止めてくる。それを何度か繰り返してやっとちきゅう組のお部屋までやってきた。荷物置き場のところに入ろうとした時もきみは「ヴェンタ!」というので、みつぱぱはちょっとその手前で待っていた。きみは荷物をもって出てきたが、全てじゃなくってまだ棚にいくつか荷物が残ってた。

 

みつぱっぱが「あの上の荷物も取らなきゃ」というと、「ヴェンタ! ヤーカンシェルブ(じぶんでやる)」と言ってくる。仕方ないからまた荷物置き場の外にでてこっそりのぞいてみると、めっちゃ背伸びして手を伸ばして荷物を取ろうとしてる。ぎりぎり届いた荷物を引っ張ると、案の定頭の上にボンッっと落ちているが、満足そうにそれを拾うきみ。おもしろかったのが、それがきみの小さいサイズのリュックサックなんだけど、今度はそれを自分ひとりで背負おうとしている。その一生懸命な姿がかわいすぎる。リュックサックを近くにあった台に置いて、その上に仰向けになるようにえびぞりになって乗っかり、片方ずつ腕を通して行くきみ。い、いつのまに、そんな荒技を覚えたんだ!

 

そのあと、満足げにでてきたきみ。そしてちょうどトイレの前を通ったきみがぽつりと言う。

“ヤーヴィルバイサ” (うんちしたい)

お、珍しい、ちゃんとうんちしたいって言えたな、と思ったのもつかの間、ただようあの香り。したいっていうか、もう絶対でてるじゃん! と思いながらも、車に乗る前にちゃんと言ってきたのはえらかった。そしてそこにあるおむつ交換台にきみをのせるときみはいっぱしになにか指示しだす。最初は何を言ってるかわかんなかったけど、だんだんわかってきた。こんな感じ。もうそりゃ、ボスベイビーか赤ちゃん本部長にしか見えない感じ。

 

「上に設置してあるでっかいキッチンペーパーみたいなやつをここに敷いてその上に僕を寝かせてくれ、そうすれば、うんちがオムツ交換台の上につかずに済むから。あ、あとそこに使い捨てのゴム手袋あるからそれを使いなさい。おしりふきはそのカゴの中だ。」

 

いや、もちろんこんなに流暢に説明できないし、きみのスウェーデン語を理解するのに時間はかかったけど、内容的にはほんとこんな感じ。いつも幼稚園の先生方がやってるようにやって欲しかったのね。笑 残念なことにきみのやわらかめのうんちは、さっきのエビゾリリュックのせいか、大爆発をしてそとの洋服までついちゃっていたけれど、きみのアドバイスのおかげで手袋もしたたし、オムツ台に紙も敷いてたから全然汚れなかったよ。

 

そしてきれいになったきみは突然水が飲みたいと言い出し、ちきゅう組に戻って自分のコップを使って水のポットから自分で水をくみ、飲みだした。あら、なんだかいろんなこと自分でできるようになってる。しかも家にいる時と違って甘えてこない。家でもこうであってくれるといいんだけど笑 と思っているともうこんな時間! なのにきみはお部屋の中のおもちゃで遊びかけてる・・・。「ダメダメ、もう帰るんだよ」と言ってもきみは譲らない。これでも今日は結構長い目で見た方の日だ。きみを担いで外へ出て、車に乗っけたが、きみはわーわーわーわーなにか言っている。

 

なんとか途中で買い物も済ませ、家の駐車場に着いて、きみを車から下ろすと、きみはまだふくれっ面をしている。「ヤーエリーテン」(僕ちっちゃいんだもん)というきみに、みつぱっぱはちょっと話をした。

 

「自分がやりたいことを主張するのはいいことだけど、相手がいるときは相手と相談するの。いつでも自分がやりたいことだけできないんだよ。幼稚園でもお友達と遊ぶときにはなにが一緒にできるかってお話しするでしょ」

 

どこまでこの言葉がわかってくれてるかわからないけど、なんか神妙な面持ちで聞いてた。最近、きみのいるちきゅう組ではお友達と遊ぶためのルールというかコツみたいなものを学んでいるらしく、「ちきゅう組、おひさまみたいなおともだち」と題されて、壁に貼られたおひさまの切り絵には、太陽の光が何本も伸びて行く部分にこんなことが書かれている。

 

  • 助け合おう
  • たたかない
  • ひとりであそびたいときはひとりであそんでいい
  • あなたは誰かのいいお友達になる
  • 誰かが悲しいときは元気付けてあげよう
  • やさしくなろう
  • みんな仲間に入れる
  • ハグしあおう

 

おうちでも、これについてお話ししてくださいねってぱっぱたち言われてるんだけど、そんな話をきみにしながら、これいまのみつぱっぱできてるかなぁなんて思ったりしたよ。きっとこれは大人になってからも大事なことで、なのに大人になると忘れやすいことだ。

 

ということで、きみに「ハグしていい?」と聞くと「やー」というので、みつぱっぱはきみにハグをした。きみに「ハグしてくれる?」と聞くと「ネイ!」と返ってきて一瞬みつぱっぱはがっかりしたけれど、その直後にきみは「メン、ヤー ヴィル プッサ デイ!(キスしたい!)」と言って、頭突きのような勢いのキスをみつぱっぱのほっぺにしてくれた。

 

こんなふうにきみにはなんか、父親っぽいことを言っているみつぱっぱだけど、正直いつも不安になったりはする。いつも葛藤するのは、どこまできみに自由を与えて、どこからパッパがきみの自由を奪うかということだ。今日みたいに帰りたくないというきみをむりやり抱えるとき、「こんなんでいいのかなぁ」「自分の声かけの仕方が悪いのかなぁ」と不安にならざるをえない。だから、今日きみが最後にプッサしてくれたときは、ちょっとその不安が和らいだ。これのくりかえしをまだまだしていくのかなぁなんて思いながら。

 

あ、洗濯機が止まったみたい。さっきの汚れた服入れといたんだった。取りに行かなきゃ。じゃ、またねー。

 

Jag älskar dig,

みつぱっぱ