こんにちは。ふたりぱぱのみっつんです。
僕らが以前住んでいた、ロンドン/UKからあるニュースが飛び込んできました。きょうはそれを聞いて、思ったことを綴りたいと思います。
ゲイパパたちに押し寄せたヘイトの波
イギリス・マンチェスターに住むゲイパパたちがCMに起用されたことで、ネット上で彼らがひどい誹謗中傷を受けているという記事。代理母出産によって、息子カーターくんを授かった彼ら、『(子ども好きなゲイは)小児性愛者である』とか、『その子どもに母親を与えないのは虐待である』、などの批判的なコメントが寄せられた。
彼らを起用したマッケイン社はイギリスの冷凍食品を製造販売する会社で、”We Are Family”というテーマでこのキャンペーンをしている。こちらがそのCM。
ごらんのとおり、ゲイパパだけが取り上げられているわけではない。
家にいるお母さん、働くお母さん、シングルマザー、お父さん、週末だけいっしょに過ごすお父さん、お父さんがふたりの家族、遠くに住むお父さん、おばあちゃんに寝かせてもらう子もいる、家族といってもいろんな形の家族がある、それでもわたしたちみんなが家族だ。
このCMを要約するとこんな感じである。このあいだのIKEAのCMではないが、このように家族の多様性に焦点を当てたCMは本当に多い。
しかし、このCMを作ったマッケイン社にも、『吐き気がする』などと、多くの否定的なコメントが寄せられているらしい。
僕がふたりぱぱとして感じる、ヘイトの恐怖
僕らも彼らと同じように、子どもを授かったゲイカップルである。そして、このブログで日々の生活を綴りツイッターにリンクしたり、インスタグラムなどで顔を出して写真をアップしている。またメディアなどからの取材を受けるときもある。ありがたいことに、根拠のない中傷などを直接受けたことは一度もないと記憶している。しかし、内心ではいつもビクビクしているのも正直なところだ。
以前受けた取材のあと、あるインタビュアーさんから、『この言葉が適当かわからないですが、みっつんさんは強いです。』とお言葉をいただいたことがある。大変光栄なことで素直に嬉しかったが、『強くなんかないよ』と、心の中では複雑な気持ちであり、それはやはり、非難や中傷の的になるのではないかという不安な気持ちが、どこか頭の片隅にひっかかっているからだった。
“強い”に似たような表現で他の方にも言われたことがある。しかし、その強さは、僕が強い人間だからではなく、強くないことを自覚しているからこそ、いつかくるやもしれない中傷の嵐に立ち向かうために、強く踏ん張れるようにしておかなければ、という姿勢の表れだったのかもしれない。それは自分を守るためではなく、生まれてきてくれた息子を守るためにだ。
だからこそ、この記事をみつけたときに、敏感に反応したのだろうし、この記事を読んだことで湧き上がった思いを書いておきたい、と思ったのだと思う。
それでも顔を出して表へ出る理由
そんなに中傷の声が怖いなら、『最初から子どもを持たなければよかったじゃないか』とか、『わざわざ自分から目立つようなことをしなければいいじゃないか』と思う方もいるかもしれない。しかし、子どもが持てる可能性が見えたときに、それを捨てる気持ちにはなれなかった自分の心を大事にしたかったし、いままで選んできた数々の選択が、陰に隠れてコソコソしなければならないようなことではないと信じている。このCMにでたゲイパパの言葉を借りると、こういう思いもある。
We’re proud of our little family and we have nothing to be ashamed of.”
私たちはこの小さな家族を誇りに思っているし、なにも恥じるようなことはしていない。
そして彼らに対しての誹謗中傷が出たことによって、逆に彼らをサポートしようとするコメントもたくさんでてきている。
こんな健全で良質なCMを見て、ヘイトを投げつけられる人がいるなんて、正直ショックすぎるよ。
いいかげん他人の性についてや人種、なんでもだけど、気にして関わるのやめてくれよ。ただ….自分の人生に集中しな。
もし同性愛者が嫌いなら、それでいい、ただ黙ってろ。けど、自分の無知をさらして人にレッテル貼って、ゲイは子どもを育てられないなんて言ってんじゃねぇ。
そう、無知からくる誹謗中傷を言う人もいれば、それによってサポートしようとする人たちもでてくる。極端な言い方をすれば、そういう無知な人たちがいたお陰で、新しい仲間が増えていくことになるとも言える。
このブログも開設から約2年が経ち、いつも読んでくださる読者さんや、コメントをくださる方も増えてきた。インスタグラムでも同じだ。その声によって支えられているという実感がある。先述のインタビュアーさんに言われた”強さ”というのは、そういう暖かい声によって支えられているんだと、いま、まさにこれを書きながら感じさせられた。
こうやってたくさんのサポートをいただくために、息子くんのプライバシーのことも考えながらではあるが、いろんな形で発信を続けたいと思う。そのサポートは、これから成長していく息子くんのために、そして彼の世代の子どもたちのために、必要なことだ。
ヘイトへの恐怖を打ち消すことはできないかもしれない。しかしこの記事を読んで、もし僕らにそういうことが起きたとしても、その痛みは僕らの絆を強くする材料にしかならないのだと強く信じることができたと思う。もちろん、そんなことないに越したことはないのだけれど。
参考記事:Gay dads featured in advert face horrific abuse online(Pink News)