海賊はドラゴンを捕らえた!

海賊はドラゴンを捕らえた!

2019年7月29日(月)

息子くんへ。

 

今日もパッパたちはお仕事。きみはファルモルのところで過ごしてもらった。みつぱっぱが仕事を終えて、ファルモルのところへ迎えに行くと、きみはファルモルのお庭の畑でとれたえんどう豆とトマトを収穫したと、自慢げに見せてくれた。

 

今日はおうちに帰る前にスーパーによって買い物もしなきゃいけない。きみに「さぁ、帰ろうか」と言っても、きみは「ネイ」と拒否。まぁ、いつものことだ。みつぱっぱはたまたまテーブルの上に置いてあった新聞に目を通しながら、ファルモルときみと3人で今日あったことを話しながら、ちょっと時間をおいた。

 

あぁあ、どうやってきみを外に連れ出そう、と思っていたら、きみが望遠鏡(のおもちゃ)を持ってきた。そうだ、今朝、家を出てくるとき、きみは海賊の片目を隠すやつを見つけたもんだから、それをつけたがって、海賊ルックのバンダナと望遠鏡を持ってこのファルモルのところにやってきたんだった。

 

海賊ルック

 

みつぱっぱはそれをきみに「貸して」というと、きみは快く貸してくれた。みつぱっぱがその望遠鏡をのぞいて、ファルモルのおうちの窓から外をのぞくと、なんと、そこにはドラゴンが飛んでいる! これはやばい、と思って、「お外にドラーケ(ドラゴン)飛んでるよ!」ときみに伝えると、きみはびっくりした。望遠鏡をきみに渡して「見える?」と聞くと、望遠鏡をのぞいたきみは、「やー!」って言って、興奮気味。

 

「捕まえに行こうか」というと、きみはもうのりのり。ファルモルに挨拶もせず、自分で靴をはき、慌てて玄関を飛び出す。ファルモルが「バイバイのハグは〜?」ときくと、きみはすたすた戻っていって、ファルモルにハグをして、望遠鏡を引っさげて車へと向かう。は、はえーよ笑

 

みつぱっぱはあわててきみの荷物をまとめて、車に向かう。きみのチャイルドシートのシートベルトをセットする間、きみに「じゃ、その望遠鏡でドラーケ来ないか見張っててね」と言うと、きみはさも大切な仕事のように、望遠鏡をのぞき込む。みつぱっぱはドラーケに追いつかれないように、急いで、でも安全運転で車を走らせた。

 

その間、きみは、「コンメル 、ドラーケ、ソーミュッケ! (ドラゴンいっぱいきた!)」と言いながら、その数を数え始める。最初は4頭だったドラーケも、次に数えた時は10頭、その次は15頭にまで増えていた。みつぱっぱのバックミラーにはうつっていないけれど、きっとあの魔法の望遠鏡じゃないと見えないのかもしれない。

 

しばらく走っている間に、みつぱっぱはちょっと安心したのか、他のことを考えていた。スーパーで何を買わなきゃいけないとか、そういうこと。そしてスーパーにつきそうになったころ、きみが何か叫んでる。「ぱっぱ〜、メーラドラーケ!(もっとドラゴン!)」あ、そうだったそうだった。ドラーケに追われてるんだった。汗 「じゃ、スーパーの中に逃げ込まなきゃね!」と言うと、きみも賛成してくれた。

 

車を駐車場に止めると、先ほど降った夕立の香りがする。きみを車から下ろすと、きみは今にもスーパーの中に飛んでいきそうだった。ちょうど、足元はさっきの夕立が、駐車場のアスファルトの上に川や湖を作っていた。「気をつけて! そこの川にクロコディール(ワニ)がいるよ!」と言うと、きみは動きをパッと止め、みつぱっぱの手を取りながら、その川をゆっくりまたいだ。これは大変な冒険になった。スーパーの中に入るまでたくさんの川や池があるし、車もビュンビュン通る。きみとみつぱっぱは手に手をとって、なんとか入り口まで入り込んだ。

 

ここでやれやれと思って、「これでドラーケから逃げられたね」ときみに言うと、「ネイ! ドムアインネ! ビ、フォンガ、ドム(中にいるよ! つかまえなきゃ!)」と意気揚々。買い物用カートの座るとこじゃなくて、籠の中に仁王立ちになって、望遠鏡ははじっこの隙間にさして、出発。どうやらこのカートはいま海賊船になったらしい。もう気分はフック船長。

 

海賊船に、野菜やジュースなんかを入れて行きながらも、きみはあっちにドラーケがいるだのこっちにドラーケがいるなど、忙しかった。そしてだいたいの買い物が終わった頃、突然きみが船から降りると言い出した。今度は何するつもりだとおもったら、ドラーケを捕まえに行かなきゃいけないらしい。そか、まだ捕まえてなかったのか。

 

きみをカートから降ろすと、ひとりでダダダダダーーーと走って行って、ひとりチャンバラみたいなことやってんの。そしてそのままみつぱっぱの方に戻ってくると、何かを捕まえたような仕草で、「ヤーフォンガドラーケ!(ドラーケ捕まえた!)」と言っている。「おーそうか、すごいね! それどうするの?」と聞くと、どうやら家に持って帰りたいらしい。リカパッパに見せなきゃいけないんだって。だからその海賊船にドラーケを入れるきみ。なんか意外とちっちゃいんだなと思いながら、さぁ帰ろうかというそのとき、きみはまたダダダダダーーーと走って行って、またひとりチャンバラ。どうやらまだ何頭かいるらしい。それを結局5回ぐらい繰り返す。おいおい、ドラーケいっぱいだなぁ。

 

そろそろお金払って行かなきゃってことで、きみに「ねね、もうドラーケいっぱいだから、逃げられちゃう前に、車に連れてった方がいいんじゃない?」と言うと、納得してくれて、買い物したものをお金払って、(ドラーケはお金払わなくてよかったよ)外へ出る。さて、ここで、この海賊船ともお別れ。買い物したものをとって、海賊船はまたもとの買い物カートへ戻った。

 

ドラーケを持ったまま、きみはまたクロコディールに襲われないように、車にぶつからないように、気をつけながら、自分たちの車へ戻る。車のドアをあけると、きみは早速手に持っていたドラーケを何頭か自分の座席の隣へ積み込み、意気揚々と自分の席へと座り、みつぱっぱも車へ乗り込むと、家へと向かうことにした。

 

きみはお家の駐車場についても、まだまだ海賊のままらしく、さっき乗っけたドラーケをちゃんと引っ張り出して、足をどんどん高くあげながらどすどす歩くようにして玄関へ向かう。エレベータの中でもしっかり、ドラーケを離さずにいて、みつぱっぱがお家の鍵をあけ、ドアを開けるときみは手に持っていたドラーケを放り投げるようにして、中に入れた。すると、これで一安心、といった様子で、「デ、ゴーブラ(よくできた!)」と呟いた。

 

そんな海賊のきみ。お家へついてドラーケを持ってきたことで安心したのか、次の瞬間には「テレビ見たい」だって。おいおい海賊はどうした。ま、ちょうどご飯も作らなきゃいけないし、ということで、海賊はミッキーマウス、クラブハウスを見始めた。

 

そのうち、リカパッパが帰ってきた。みつぱっぱはまだご飯を作ってる途中だったけど、きみは突然どこかからか何かを持ってきて、リカパッパに見せている。ただ、どうやらリカパッパには(まだ)それがなにか見えていないようだった。きみも必死になにがあったか説明してるけど、リカパッパはよくわかってない。そこで、みつぱっぱがことのいきさつを説明すると、そこでようやくリカパッパもそのドラーケが見えたらしく、きみのその頑張りをねぎらっていた。

 

そしてそのあと、ご飯を食べたのだけど、ご飯のあとに、きみに、「あれ? ドラーケどこいったの?」と聞くと、きみは辺りを見回して、「ボッタ(どっかいっちゃった)」だって。「いないの?」と聞くと、いないと答える。「バルコニーのドア開けといたから、そこから逃げちゃったかな?」と言ってみると、「カンシェ(たぶん)」と答えるきみ。

 

そうしてどうやら、今日は海賊の魔法はとけたようだった。

 

みつぱっぱ、仕事で疲れてたけど、なんかそのあとにまたもう一つ大冒険をしたようで、ワクワクして楽しかったよ。

 

さ、次はどんな冒険が待ってるかな〜?

 

Jag älskar dig,

みつぱっぱ