「どっちの精子使ったの?」という質問
ゲイカップルがサロガシーで子どもを授かろうとしても、その二人の精子を掛け合わせたところで子どもはできない。卵子提供をうけ、そのカップルのどちらか一方の精子が、その卵子と体外授精されるのだ。
そう、だから、どちらの精子を使うのか、それを決めておかねばならない。
ここで僕らがよく聞かれる質問がある。
「リカとみっつんのどっちの精子を使ったの?」
ということだ。その質問をうけると、心の中の困った様子を隠しつつ、こう答えるようにしている。
「子どもの出自にも関係するから、答えられないんだよねー」と。
そして、僕らは子どもには全てを正直に伝える予定でいるが、それは誰か周りの誰かからではなく、僕ら親の口から伝えるつもりであることも付け加えている。だから正確に言うと、「今はまだ人には言えないんだ」ってことになるんだろうけど。
この事実を知っているのは、家族・親戚と一部の近い友人のみにしている。(なんとなく噂とかで耳にした人はいるようだけれども、、、)
基本的にはこの連載では、僕らがたどった道、僕らが実際に体験したことを綴っているのだけれど、そのような理由で、ここで僕らがどのように決めたのかということをお伝えすることができない。
ただ、それで終わってしまっては、すこしつまらないので、今まで自分が調べた中でいくつかの例を、僕が知る限りご紹介したいと思う。
参考例として
片方が強く希望する場合
カップルのどちらかが、自分の精子を使いたいと希望があった場合、ふたりの間での話し合いもった上で決めたというカップルがいた。例えば、カップルのうち片方は他に兄弟がいて子どもがいるが、もう片方にはおらず、親に孫の顔を見せてあげたい、という理由など。
交代で
サロガシーを複数回行うことで、順にそれぞれの精子を利用する人もいるらしい。それぞれに遺伝的つながりのある子どもを授かる方法。これだと、どちらかを選ぶ必要はなくなるが、経済的に体力のあるカップルでなければ成し得ないだろう。
親類から卵子提供を受ける場合
片方の男性の親類などから卵子提供をうけることができる場合、必然的にその相手側の精子を利用することになるだろう。そうすることにより、ふたりの間の直接の子どもはできないにしても、両方の親がその生まれてくる子と血のつながりをもつことができる。
各親の出身国の法律を鑑みる
子の親権や養育権についてのプロセスは、国によってかなり差があり、その際、そのカップルのうちのどちらが生物学的な父親なのかということで、手続きの仕方が大きく変わってくる。インターナショナルカップルの場合、その手続きがしやすい国出身のIPが精子提供をする場合もあるそうだ。
シングルゲイパパの場合
最近ではシングルファザーとして、サロガシーを選ぶゲイの人もいるようだ。これはカップルの間でどちらかを選ぶという趣旨からは外れてしまうが、選択肢のひとつとして、ここに書いた。英語だが、それを選んだ人が紹介されているサイトをここで紹介する。
両方の精子使い、双子ができるか?
と、以前聞かれたことがある。つまりは、ふたつの卵子にゲイカップル両方の精子をそれぞれ授精させ、そのふたつの受精卵を同時に代理母の子宮に移植し、双子を授かることができるかということだ。これについては僕は医者じゃないのでわからない、と答えた。僕らは特にそれを想定してプロセスを行わなかったので、それが可能かどうかも僕らのドクターにも聞かなかった。
このようにいくつかの例をご紹介したが、きっとこれだけではないかもしれない。人には人の選択肢があって、あなたがもしサロガシーを選んだとしたら、また違う理由でどちらの精子を使うか決めるかもしれない。
それがどんな理由にしろ、あなたのパートナーとしっかり話し合って決めて、双方が納得することが、一番大切であろうと思う。子どもが生まれて育てていく上で、結局は両方が親になっていくのだから。
子どもが大きくなるにつれ、「みっつんに似てる」と言われることもあれば、「リカに似てる」と言われることもある。(なぜだかそういうことを言うのは、日本人特有の褒め言葉らしい→それについてはこちら)
はたから見ると、そんなふうに両方に似てるように見えてくるらしいのは、興味ぶかいけれど。。。
つづきはこちら
連載「サロガシーの旅」が書籍化されました!
ブログでは第1、2章までが公開されていますが、残り半分の旅路も全てあわせて収録されています。
全国の書店、またはamazonでお買い求めください!