なぜこのブログを始めようと思ったのか?
はじめまして、みっつんです。 僕と夫のリカはスウェーデン在住のゲイカップルで、2016年にアメリカで代理母出産によって男の子を授りました。まずは、なぜこのブログを始めようと思ったのかについてお話ししたいと思います。
“LGBTが親になる” ということに関して、サロガシーについてだけではなく、日本語での情報が極端に少なく、自分たちがそのプロセスを経ている時、あればいいなぁと思ったからです。それだけ。
今、日本にいるLGBTの方で子ども欲しいなぁと思っていても、「どうせ無理だ」「それは海外の話でしょ」と諦めている方もいるかもしれません。確かに僕らも今は海外暮らしではありますが、日本語でその話を読み、知ることができたら、もう少しリアルに感じてもらえるのではないか、子どもを持とうと行動に移す方が増えるのではないかと思ったのです。そしてそういう方が増えて欲しいというのが個人的な願いです。
2015年10月に開設したこのブログも、読者のみなさまからのお声をいただき、いくつかコンテンツが増えました。次の項目ではその内容についてご紹介します。
このブログのカテゴリーについて
このブログは大きく分けて次の3つのカテゴリーに分かれます。
これらの内容についてご紹介させてください。
サロガシーの旅 (不定期更新)
第1話から始まるサロガシーの旅では、僕らが初めて『親になる』ということを意識し始めたところから始まり、子どもを持つためにはどんな選択があったのか、なぜサロガシーを選んだのか、そして具体的にどんなプロセスを踏んでいったのかといった、自らの経験を時系列にそって綴っていく予定です。
こちらの連載は、このブログでは第2章まで書き上げたところで、書籍化のお話をいただき、残りの2章を書き下ろしという形で、刊行させていただきました。全国の書店、アマゾンでお買い求めいただけます。
サロガシー質問箱
このブログを開設してから、ツイッターやお問い合わせフォームなどで、ご質問をいただくことがありました。個人的なご相談にはお答えできかねますが、ブログの読者の方にシェアしたら役に立つだろうというものがあれば、質問者さまの了承を得て、こちらに公開させていただいています。
ふたりぱぱ日記 (息子くんへの手紙 / コラムなど)
このブログはもともと『サロガシーの旅』をお伝えすることからはじまりました。しかし現在は子どもが生まれ、ゲイカップルとして子どもを育てている生活を見てもらいたいという気持ちが生まれました。もともとブログなどやったこともなく、自分の生活をさらけ出すのは恥ずかしいほうです。だけど、ゲイだけど子ども育てたいなと思っている方、そしてゲイカップルが子どもを育てている様子は想像がつかないな、という方に読んで欲しいな、という思いではじめました。息子くんへの手紙のシリーズを始めたきっかけは、こちらをごらんください。
いち・経験者として
人にはそれぞれいろんな考え方があります。子どもを持つことや、サロガシーに対して批判的な方もいらっしゃるでしょう。僕は医者でも社会学者でも政治家でもありませんが、LGBTQと呼ばれる人が親になることについてやサロガシーの是非について、そしてそれにまつわる悩みだったり考えてきたことを、自分の経験として書いていきたいと思っています。
あくまで僕が書けるのは、自分たちでどのようにして考え、信じた道を選んできたのか、その行程だけです。それが正しい答えか間違っている答えなのか、誰にもジャッジできるものではありません。ここに書かれるのは僕らが出した答えです。そうして僕らが出した答え、そしてその上で通ってきた道、それを伝えていきたいと思います。
しかし、LGBTQの権利に対する社会の受け止め方、サロガシーを含めた高度生殖補助医療の技術の向上、そして医療倫理のありかたなどはこの数年でめまぐるしく変わってきました。それにあわせ社会の議論も活発化しています。僕らのこの経験が、その議論の材料の1つになればいいと、願いながらブログを書いていきたいと思います。
サロガシーって結局なによ?の疑問に答えたい。
「海外居住者はすぐカタカナ語を使いたがる」なんて突っ込まれそうですが、漢字だとなかなか硬いしリズムが悪いので代理母出産とか代理懐胎とかではなく、サロガシーっていう言葉もサブタイトルや文中に使わせてもらっています。
また、その他の用語においても英語のカタカナ表記が多くなるかと思いますが、サロガシーに興味がある方が、英語のサイト(エージェンシーやクリニック)など、ご自身で調べたりする際に、すんなり入っていけるようにとの、思いもあります。
僕らがこのサロガシーの旅を始めたころ、大変だったのはその情報の少なさでした。英語で探せばいろんな病院の案内だったり、大学の研究論文だったりがネットでみつかりますが、専門用語が多いそれらの情報を英語で理解していくのには苦労したし、日本語でのサロガシーの情報を得ようと思うと、どうしても男女カップルの情報しかでてこなくて、ゲイである自分たちに置き換えるのが難しかったことを覚えています。
だからこそ、もしサロガシーの可能性を探っている方がいれば、その経験をシェアしたい。サロガシーってなんなの? どんなことするの? といった見えない部分を、見えるようにしたい。それが、この連載をお届けしたいというひとつの理由です。
ただ、僕らの子どもはもちろん、他にご協力いただいている卵子提供者、そして代理母、クリニックの方々など、プライバシーに関わることで全てを明らかにはできませんが、そこはご理解いただければと思います。
あなたが家庭を築く方法はひとつじゃない – 多様性の社会のために
“ふたつとして同じサロガシーの旅はない – あなたがネットで読んだり人から聞いたことのある話は、必ずしもあなたのそれと同じにはならない”
これはぼくらがお願いしているアメリカのサロガシー代理業者が、最初に渡してくれたハンドブックの一番初めの段落に書かれていた言葉。ちょっと置き換えると、これを読んでくださるあなたがもし”親になる道”を選び進んだとしても、僕らのその道とはまったく違うものになるかもしれません。でもそれでいいのです。
この言葉の意味、実際にその行程を経ていくと身にしみてわかります。この旅路には無数の分岐点があり、その都度選択をしていく作業。ほかのカップルは全然違う行程を歩いているのかもしれない。
それに気づくとこの言葉、結構深いなって思ったんです。もっとさかのぼれば、サロガシーをすると決めるその前にも、僕らにはたくさんの分岐点がありました。子どもを持ちたいのか、結婚をしたいのか、ロンドンに一緒に行きたいのか、もっと言えばパートナー/彼氏が欲しかったのか。
多様性ということばが叫ばれる今日ですが、僕は “◯◯だから△△すべき” という言い方や考え方が苦手です。人の人生にはいろんな分岐点があって、それはひとそれぞれで、なにが正解だなんて言えないし、ひとつの枠しかないなんて窮屈でしかない。
僕たちは子どもを持ちたいという強い希望があって、サロガシーという可能性や夢を持つことを選びました。ただあなたは違うかもしれない。パートナーと二人だけで幸せという方もいるだろうし、一生独身のほうが幸せだという方もいるでしょう。それもすべて含めてこれからくる新しい時代の『家庭像』でいいんだと思います。
だから、サロガシーや子どもを持つことに興味がある方はもちろん、それに興味がなくても、このサロガシーの旅の景色が頭の端っこにちょこんと残っていて、あなたが将来サロガシーで生まれた子どもに会った時「そういう選択もあるのね」と心に秘めながら、微笑んでくれるような社会になればいいなと思いながら、サロガシーの旅、出発したいと思います。
みっつん
*本文・文中に出てくる方法、金額、医療用語などあくまでも参考にとどめていただき、実際にあなたが親になる旅に出る際には、個人で改めてお調べになることをお勧めいたします。万一、当サイトに掲載されている情報及び内容に含まれる誤りによって被害・損害等が発生したとしても、当サイトは一切責任を負うものではありません。