2016年9月24日(土)
息子くんへ。
この4日間ほど、この北極圏内にある、君のファルファル(おじいちゃん)の生家でおあるストゥーガン(別荘)にきている。けれど、ずっと天気は悪く、曇り空に小雨が降る天気。9月の北スウェーデンはすっかり秋も深まり、夜になると気温が0度近くになったりもしている。
ここにきてからは夏の間に植えておいたジャガイモを収穫するほかは、特に外に出ずに、パパたちは、本を読んだり、オンラインのコースを受けたりと、君にとってはちょっと退屈だったかもしれない。
今日の夜になったら、またファルファルのお家に帰る予定だから、今日はちょっとそてに出ようって、リカパパと三人でまわりの森を散策することにしたんだよ。
森に踏み込むと、白樺の葉っぱはほとんどが枯れ落ち、ヤマナラシの葉っぱは日本のイチョウを思い起こさせるような綺麗な黄色で、針葉樹の緑の森のなかに、いいアクセントになっていた。空はあいかわらず重い曇天だったけれど、それが妙に秋らしさを深めていて、悪くなかった。
リカパパは君をだっこひもでくくって、君はそこのなかで、最初の半分は眠っていたけれど、途中、何かに気づいたようにパッとおきて、空を見たり、葉っぱが一枚だけ残っている梢を不思議そうに見つめていたりして、楽しそうだった。
そのうち、森の木が少しだけ開けたところに出た。といってもそこは草がぼうぼうで、ふたつの切り株の上に苔がむしていたり、大きな石がごろごろしているところだった。その石をかるく蹴りながら、リカパパはこう言った。
「ここは、昔おじいちゃんがこどものころ住んでいた家があったところなんだ。この石はその土台だったんだよ」
つまりは、君からするとひいおじいちゃんにあたるひと、1920年代に生まれたらしい。約100年くらい前には、ここに家があって、君のひいおじいちゃんはきっと遊びまわっていたんだろう。
そのひいおじいちゃんは大きくなるころには、この家は違う場所に移築され、ひいおじいちゃんの兄弟が住み続け、その子孫がその家を守っているらしい。ひいおじいちゃんはその隣(っていっても何百メートルも離れてる)の敷地に今のストゥーガンを建てて、そこで君のファルファルが生まれたってわけ。
ひいおじいちゃんやそのまたお父さんは、このあたりの森を切り開いたり、製材をしたり、森の木で家具を作ったりしていたそうだよ。あ、ちなみに君にとっての初めてのベッド、ゆりかごみたいなやつ、あれを作った人だ。
*このベッド、君にはもう小さすぎるけどね。
この跡地があるところは、川が近くて、綺麗な場所ではあるんだけど、土地が低い分、冬はさらに寒くなるらしい。それが理由で移築されたり、新しく家を建てる時にはそれよりちょっと高台のところへと場所を移したんだって。
みつぱぱはあんまり自分のおじいちゃんだとか、その先にどんな人がいたとか、あんまり知らないんだ。だから、リカパパのおじいちゃんや、そのまたおじちゃんがどんなことをしていたのかっていう話を聞くと、とっても嬉しくなる。
なんでだろうか、それはわからないけど、なんかここに約100年ぐらい前に家があって、でももうそこは荒れ果ててて、というか、もう森に同化しちゃっていてわからないぐらいになっているけど、でもその子孫である僕らがこうやって訪ねてきてここにいる、なんてなかなかワクワクする。
リカパパはこどものころ、この森でたくさん遊んで、探検なんかもして、秘密基地なんかも作ったらしいよ。楽しそうだね。君ももうちょっと大きくなったら、そうやって君のいとこたちと、ここで遊ぶんだろうね。
この森で遊ぶ時、リカパパはいつもおばあちゃんにこう言われてたんだって。
『あそこには古い井戸があるから落っこちないでね!』
って。あと数年後には、きっとパパたちが君にそうやって、ガミガミ言ってるのかもしれないなぁ笑
I love you,
みつぱぱ
