舞台『グローバル・ベイビーファクトリー』と、作者との出会い

舞台『グローバル・ベイビーファクトリー』と、作者との出会い

みなさんこんにちは。いつも『ふたりぱぱ日記』を読んでいただきありがとうございます。今日は、ある演劇、お芝居の紹介をしたいと思います。

 

というのも、その芝居のタイトルが、”グローバル・ベイビーファクトリー”といい、インドでの代理母出産をテーマにした芝居。

 

これは日本の劇作家、鈴木アツト氏が作・演出を行い、2014年に東京で公演が行われた作品。その鈴木氏が現在、文化庁の在外研修(新進芸術家海外研修制度)でロンドンに留学されてるのですが、そのグローバル・ベイビーファクトリーのリーディング公演が、ロンドンのRADA(英国王立演劇学校)で行われるということ。(詳細は下記参照)

 

【あらすじ】

37歳の砂子は、40歳に近づくにつれ、結婚していない自分に不安を抱くようになっていた。結婚しろ、子供を作れという家族からのプレッシャーもあり、お見合い結婚をするが、幸せな新婚生活も束の間、子宮に癌が見つかり、すぐに全摘出手術を受けることに。

子どもを産めない身体になった砂子が子どもを持つには、代理出産という方法しかなかった。インドにある外国人向け代理出産クリニックの存在を知った砂子は、その最後の手段に身を投じていくのだが・・・。

劇団印象(いんぞう)HPより

 

実はこの鈴木アツト氏とは何度かロンドンでお会いしたことがあり、昨日もスカイプで話をしたところ。その出会いは彼からのアプローチでした。

 

彼ははじめのメッセージで、代理母出産に興味がありそれをテーマにして戯曲(台本)をふたつ書いたということ、それはネガティブな視点で書いてきたのでもしかしたら、僕(みっつん)は嫌かもしれないけど一度お話をうかがえないか、ということでした。

 

正直複雑な気持ちがありましたが、会うことにしました。自分も演劇に携わる者としてどんな戯曲を書いたんだろうという興味もあったし、ネガティブだろうが、それをテーマにした戯曲があるということが嬉しかったから。

 

僕が考えるいい演劇とかおもしろい芝居というのは、何かすでにある答え、いいかわるいかを観客に提示するのではなく、社会における疑問や矛盾をなげかけているもの。特に社会のジレンマの幅が大きい題材であればあるほど、おもしろい演劇になると思うのです。

 

 

常々、代理母出産に関わる僕が考えてきたのは、日本ではその議論の土台や余地がないことが残念だということでした。

 

しかし演劇であれば、それについて考えるきっかけになるんじゃないか、書物やネット上の机上の空論より一歩先の、人間の顔や感情が見えるんじゃないか、そんな風にも思い、その戯曲を読みたいし、彼にも会ってこちらからも話を聞きたい、そう思いました。

 

彼に返事を書き、会うことになると、彼はその戯曲を会う前に送ってくれました。

 

読んだ最初の感想は、『いうほどネガティブじゃないな』ということ。

 

そのストーリーはインドでの代理母出産をもとに描かれており、僕がたどったアメリカでのサロガシーの旅とはまったく別物だなという感想もありましたが、しかしそれより何より、”ひと”がしっかり描かれていたのは嬉しいとさえ感じました。

 

子どもが欲しくても持てなくなってしまった主人公の女性、それを支える夫、代理母をすることを決めたインド人女性とその仲間、そしてそれを取材する日本のメディア。

 

それぞれの立場の”ひと”がリアルだなぁと思ったのです。ネットやマスメディアで代理母出産の話題がでると、なかなかそれに関わる”ひと”の顔が見えないことがおおいのですが、それが見える感じといったらいいんでしょうか。この本公演をぜひいつか見てみたいと思いました。

 

そしてそれと同時に、どうやってここまで描き込んだんだろうという疑問もありました。どうやって調べたんだろうという疑問。

 

そのことを彼に会った時にぶつけてみると、彼は実際にインドにある代理母出産専門医まで取材に行ったとのこと。もうそれを聞いた時は、「そこまで!」という驚きの気持ちと、嬉しさすら感じました。(彼の取材日記はこちらから読めます

 

ネットでさまざまな情報が集められる昨今、実際にその目で見て、その耳で聞いて、その肌で感じる、そしてその上で意見を発信する、ということがとてもなおざりにされていて、それに辟易してしまうこのご時世ですが、そんな中、こういう演劇人がいることが、とても嬉しく感じました。

 

鈴木氏は僕と同じ年だったり、東京で僕がよく出演させていただいた劇場でも働いていたなど、共通項も多く、その後も会ったり、僕の息子くんが生まれスウェーデンに移ってからも、スカイプで何度か話したりしていて、とてもいいご縁をいただいたなと、感謝しています。

 

彼はこの9月に研修を終え、帰国されるそうです。このロンドンでの公演の成功をお祈りするとともに、今後の活躍を楽しみにしています。

 


 

GLOBAL BABY FACTORY 

GLOBALBABYFACTORY

Written by Atsuto Suzuki
Translated by Sayaka Rui
Directed by Kumiko Mendl

01 Sep, 2016 (Thu) 19:00~

チケットはこちらから
https://www.rada.ac.uk/whats-on/other-events/global-baby-factory?spektrix_bounce=true

 


 

本日も『ふたりぱぱ日記』よんでいただきありがとうございます。