2019年5月3日(金) – 4日(土)
息子くんへ。
ということで、ストックホルムのホテルについて、そこのレストランで夕食を食べ始めた僕ら3人。ぱっぱたちはパスタを食べて、きみはお子様メニューのソーセージとポテトフライ。きみも最初は大人しく椅子に座って食べていた。自分でもナプキンをちゃんとつけるほど。レストランの雰囲気と、ぱっぱたちの雰囲気を感じ取ったのだろうか。
![]()
あまりにもおとなしいので、すっかりぱっぱたちはきみの存在を忘れるほど、自分たちの食事に没頭していた。ん、なんか異様に静かだな。なんて思ってきみを見ると、きみは椅子の上に膝立ちになり、完全に後ろを向き、背もたれの上に両腕を重ねて置き、その上に自分の顎を乗せてぼーっと何か見ている。その目線の先には、隣に座る3人家族の姿。パッパとマンマとひとりの女の子。年の頃はきみとおんなじぐらいだろうか。そういえば、彼らが隣に座った時に、きみはちらちら見はじめていたっけ。でも、今は完全にガン見している。顔も体も真正面にむけて。
リカパッパとみつぱっぱは、なんだか顔を見合わせてしまった。あまりにきみがガン見しているもんだから、ちょっとこっちが恥ずかしいぐらいだ。向こうの親御さんもおんなじ感じ。軽く頭を下げて会釈する。そしてその女の子も、ちらちらきみのほうを見ている。どうやらフィンランド語を話す家族のようだ。でも、きみはきっとそんなこと御構い無しなんだろう、どうしても気になってしょうがない。「ほら、ポテトまだ残ってるよ」ってご飯をたべさせようとしても、きみは御構い無し。
おい、おまえ、この子に気があるな。ってか、わかりやすすぎ!!
そのうち、椅子から降りて、今日買ったばっかりの靴を履いて、床に降りた。そして、うちのテーブルと、向こうの家族のテーブルの間を通り過ぎるようになんどもダッシュして往復しては、ちらちらと彼女のほうを見ながら、笑ってる。女の子もそれに答えて笑ってる。めちゃかわいい! そのうち向こうのパッパとマンマも、その子を椅子からおろしてあげた。
すると、急にきみは恥ずかしくなって来たのか、自分の椅子に戻ってきた。でもまたさっきとおなじように、椅子の上に膝立ちになって、またその女の子のほう見てる。女の子は気になりかけて、降りて来たのに、きみが自分の席にもどっちゃったから、どうしようとマンマのところにもどっちゃった。
![]()
みつぱっぱが、「せっかく降りて来てくれたんだから、お話ししておいでよ」と言うと、はずかしそうなきみ。ちょうどきみは羊のぬいぐるみを持って来ていたので、それを渡して「これをあの子に貸してあげたら?」と言うと、きみはうれしそうにそれを持って、女の子に渡した。女の子は恥ずかしそうにそれを受け取って、マンマに渡していた。
するとまたきみがさっきみたいに走り始める。女の子もそれを追いかける。そしてふたりは笑う。
おいおい。いままで、きみがこんなに積極的に他の子にアピールしたのみたことないんだけど! 幼稚園でだって、わりとシャイなほう。パッパたちのお友達で、きみと年齢の近い子供がいる人たちもいて、一緒に遊ばせたりもしたことあったけど、こんな積極的なきみは見たことがない。パッパたちはほんとうにびっくりした。でも、さきに食事が終わった僕らは、軽く挨拶だけして、席を立つことに。彼らの食事もちょうど運ばれて来たところ、彼女ももうちゃんとおすわりしてご飯を食べようとしていた。
食後、きみとパッパたちは、まだ明るい外の森をちょっとお散歩することにした。腹ごなしだ。高台の丘にたつホテルからは眼下にきれいな湖があり、今日は曇り空ながら、最高の景色。芝生の上を走り回り、道端に生えている野花を摘んでまわりを散策していた。ただ、太陽は雲に隠れ風は冷たく、春にありがちな雹が降って来たので、そろそろ部屋へ戻ろうということになった。
![]()
別の日のホテルのお庭からの景色
そしてホテルの館内に入ると、リカパッパがこんなことを言った。「そのお花どうするの? さっきのディーナ・ヴェン(きみのお友達)にあげたらいいんじゃない?」なんて言う。いつもだったら、ここで「ネイ!」って言いそうなきみなのだけれど、そのときは、なにかをハッと思い出したように、「ヨーーーーーーーーー!!!」とホールに響き渡る返事をして、ひとりでいちもくさんにレストランへ向かう階段を駆け上っていった。
なんとタイミングのいいことに、彼ら3人は食事をちょうど終えたところで、レストランを出たところだった。きみは持っていたお花をあの女の子に渡した。。。のだけれど、そのとき、急に女の子は恥ずかしくなってしまったみたいで、マンマの影に隠れてしまい、そのお花を受け取ってもらうことはできなかった。? ちょっとつまらなさそうにパッパたちのところにきたきみは、そのお花をパッパに渡した。
でも、階段を降りた玄関ホールまで、みんなで一緒にくると、ふたりはまたさっきの続きと言わんばかりに走り回る。お互いに近すぎず遠すぎずの距離感を保ちながら。ふたりとも大騒ぎで楽しそう。僕らの部屋がちょうど一階だったこともあり、そのまま僕らの部屋へと続くながーい廊下へと入っていった。その長い廊下は走り回るのにちょうどいいらしく、ふたりは楽しそうだった。
と、そのとき。とつぜんきみは僕らの部屋の前に立ち止まり、ドアノブに手をかける。おいおい、部屋に誘ってるつもりか?まだそりゃはやいよ笑 なかなかお互い離れたがらなかったのだけど、「また明日会えるかもしれないよ」といって、なんとか落ち着いたきみは「バイバイ」といって女の子の家族と別れた。
部屋に帰ってからも、きみはなんども「ミーナ・ヴェン」(僕の友達)と言う。そうとう彼女に会えたことが嬉しかったみたいだ。あの子とまた遊びたいとも言っていたのをなだめるのが大変だったけど、また明日、会えるかもしれないから、それを楽しみにしようねといって、なんとかその日は眠りにつくことになった。寝台列車に、ストックホルムの街、ホテルにチェックインと、気分がずいぶん上がっているようだった。旅先にくると、気が大きくなるというのは3歳児にも適用するのかね、なんてみつぱっぱは思っていたよ。
そして翌日の朝、朝ごはんを食べにレストランに行くと、また「ディーナ・ヴェン」(きみの友達)がやってきた。お互いに食べるのもそこそこにそこらじゅうを走り始めるふたり。昨日の夜よりお客さんが多いから、こっちはものすごく気を使った。そして今回はおんなじタイミングで食事が終わり、また一緒に階段を降りてロビーホールへ。その頃には親同士ももうちょっと話すようになっていた。彼らはフィンランドのヘルシンキに住んでいるけれど、休日を利用して車とフェリーを使い観光に来ているらしい。
僕らは、友達の結婚式は14時からだからと、午前中はホテルのプールに泳ぎに行くつもりだった。ちょうどシャワーもみんなで浴びられて準備ができる。そんなことも言っていたら、向こうの家族もちょうどその予定だった、ということでまたプールで会う約束をして一旦バイバイ。きみに最初「そろそろプールにいくよ」と言っても、「ネイ」と言って、その子と遊びたがったけれど、「あの子もいまからプール来るんだって」と言うと、「ヨーーーーー」と言って、駆け足で部屋へと戻っていった。なんてわかりやすい。。。
準備をして、プールへ行き、シャワーを浴びて中へ入る。ちょうどこの時間は家族向けの時間として解放されているので、結構多くの子連れ家族がいた。そしてヘルシンキのあの家族も。最初は一緒にちょっと遊んだけれど、子ども専用のプールはなく、浅いエリアもありながら、大人用プールと繋がっていたので子供達だけで遊ばせるわけには行かず、それぞれの家族ごとに遊びながら、たまに近くにいって話すぐらいだった。それでもぱっぱたちがきみを抱っこして、ちかくにその子がいると、お互いに両手を伸ばしてしっかりと手をつないだりしてはまた離れて、またつないで、また離れて、って遊びながら、たくさん笑った。
そのうちお互いにプールを出る時間になった。彼らももう一泊して行くと言っていて、じゃ、また明日の朝会えるかもねということで、名残惜しくも「またね」と言ってプールを出ると、ちょっと冷えた体をサウナであっためて、シャワーを浴び部屋へと戻った。そのあとおめかしして、結婚式へと向かったのだが、このおめかしした姿をあの子にも見てもらえたら良かったのにと、みつぱっぱは密かにおもっていた。
ただ、結論から言うと、このプールであったのを最後に、彼女にもう一度会うことは叶わなかった。
翌朝の朝食のとき、あの子とその家族はレストランに現れなかったのだ。もしかしたら彼らは早めにご飯を食べに来て、チェックアウトしてしまったのかもしれない。またヘルシンキまで車で戻るのだろうし。パパたちは結婚式のあとだったということもあり、朝はゆっくりめに起きて、昨日より遅い時間にレストランに行ったのだ。
朝食を食べながら、なんども周りをキョロキョロしあの子をさがすきみ。そして食べ終わったあとも、あのロビーへ続く大きな階段ところで、階段の下からあの子が来るのを待っているきみ。その間、ずっと「ミーナ・ヴェン」とつぶやいていたきみを見て、なんだかパッパたちのほうが切なくなってしまった。こんなことなら、昨日と同じぐらいの時間に合わせて来るべきだったかな。
初恋と呼ぶにはまだ早すぎるのかもしれないけれど、そうじゃなかったとしても、お友達としてあんなに直感的に「いいお友達にになれそうだ」とわかって、「一緒に遊びたい」というふうにアピールして、きみがお友達を作れる様子を垣間見れたのは、パッパたち嬉しかった。きみが成長してる証拠だね。
今回は旅先の1エピソードだけになってしまったけれど、これからさきも、きみがこういういい出会いに恵まれるといいなと、願ってやまない。
Jag älskar dig,
みつぱっぱ
