サロガシーの旅が、いよいよ本格的になってきた。前回の更新(第17話)では、この先の青写真のようなものを書いたのだが、この第2章では、そのタイトル通りたくさんの選択や決断をせまられる。
しかし、それらを自分たちだけで行うわけではない。その契約したエージェンシーと必要に応じて連絡をとりあい、わからないことがあれば、いつでも質問をしたり、アドバイスを受けることができる。
エージェンシーの人はそれぞれ役割が違っており、かなりたくさんの人と関わることになるのだが、大まかにどんな人たちがいるのかをご紹介したいと思う。
プログラムコーディネーター (Program Coordinator)
エージェンシーとの契約が済むと、真っ先に連絡が来るのがプログラムコーディネーター(以下コーディネーター)だ。
サロガシーのプログラムは、多岐にわたる分野のスタッフが、それぞれの専門の知識を活かして取り組んでくれるのだが、このコーディネーターさんは、それを取りまとめ、僕らのプログラムの全体像を把握し、プログラムが終了するまでお世話をしてくれる、水先案内人のような役割の人間であるということだった。
サロガシーの旅の途中、なにかわからないことや不安があったら、まずこの人に連絡をすれば、その内容に合わせて担当の人を紹介してくれたり、あらかじめその人にそこまでのプロセスを照会しておいてくれたりする。
エージェンシーの人の中で、一番初めに話すのは、この人になるだろう。最初にメールでアポイントメントをとり、初のスカイプミーティングはこのコーディネーターさんと行った。
その初ミーティングではプログラムの概要を、あらかじめメールで送られていた資料などを見ながら説明をしてもらい、次のステップはこうだと教えてもらったり、僕らがあらかじめ用意しておいた質問のいくつかに答えてもらったり、それに伴いその質問の内容に詳しい人につないでもらったりした。
ソーシャルワーカー (Social Worker)
翻訳すると社会福祉士ということになるのだけれど、日本のそれと同じようなものなのかは、僕にはわからない。しかし、このサロガシーの旅において、ソーシャルワーカーは主に次のようなことをしてくれる。
- IPのスクリーニング(適格審査など)
- IPのサポート
- 代理母のスクリーニング
- プロセス全体を通じて、代理母のサポート
などが、ある。
僕らの場合、コーディネーターとのスカイプが終わると、次にこのソーシャルワーカーとの面談があった。なにか、心配事はないか、精神面で安定できているか、などについて話を聞いてくれたりした。また、それはスクリーニングの一部も兼ねており、あらかじめ提出しておいたIPプロファイルを元に、さらに具体的な話を掘り下げて、IPとして的確かどうかを判断する役割もあった。
アトーニー (Attorney)
訳すと、弁護士・法定代理人・事務弁護士などと言われるらしい。基本的に法律がわかっていて、それをもとに様々な仕事をしてくれる。また、時には直接法律には関わりなくとも、様々なアドバイスをしてくれたりもする。それらは主に次のようなことだ。
- クリニック選びのアドバイスや紹介
- 代理母や卵子提供者との同意書づくりのためのアドバイス
- それら同意書の交渉代理人 (IP/代理母/卵子提供者、それぞれ別の人がつく)
- 妊娠中から産後にかけての時期に行う、法的手続き
などだ。
エージェンシーとのやりとりは整理しやすいように
他にも、代理母とのマッチングのためのコーディネーターや、支払いに関しての担当さんなど、どうやらエージェンシーの中での分業が徹底的に行われているらしく、ほんの一つ書類を書くだけでも、それ専門のアトーニーがいたこともあった。
最初はあまりにたくさんの名前がでてくる上に、ほとんどがメールでのやり取りになるので、メールをうけとっても『この人誰だっけ?』と、思ってしまうこともあったが、メールのスレッドを確認するなどして思い出したりしていた。。
また、僕らが利用したエージェンシーのサイトでは、全スタッフの紹介が顔写真付きでされていたので、それらも利用した。
ひとつ、アドバイスできるとしたら、このサロガシーの連絡用に、専用のメールアドレスを作ってもいいかもしれない。それをカップルの間で共有出来る用にしておけば、あとから、何かメールや書類を探すときにさがしやすいかもしれない。もちろん普段づかいのメールアカウントに、専用のフォルダーなどをつくってもいいのだが。
とにかく、メールのやりとりが多くなるのとともに、それらを記録としてなんども見返したり、添付された書類を探すために、メールボックスの整理をしておくと、この2章でご紹介する膨大な資料や書類に、対抗できるかと思う。
と、今日はサロガシーエージェンシーのスタッフについてお話しした。
サロガシーの旅は誰しもが初めてのことばかり。それはエージェンシーのスタッフはみんなわかってくれている。わからないことがあれば、聞けば教えてくれるし、助けてくれる。
また、サロガシーのプログラムというのは本当に一つとして同じものはないんじゃないか、というくらい、複雑だったりする。だからこそ、スタッフが専門の分野で特化されており、しっかりとサポートしてくれるシステムができていたのは、そのエージェンシーの過去の積み重ねがあったからだろうな、と思ったりした。
サロガシーの旅は本当に自分達だけではできない、たくさんの人に支えられ、応援してもらいながらできる。やる前は不安な気持ちもあったけれど、たくさんの人に会うたびに、その不安は拭われていった気がする。
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