また別にツイッターでコメントを求められたのですが、こちらも安易にお答えできることではなかったので、この場を借りてお返事とさせていただきます。
@MittsunLondon みっつんサン、はじめまして お時間ある時・また不愉快でなければ以下のページ内容についてコメント頂ければ幸いです 宜しくお願いします https://t.co/CnyCtkAMJv J baby HP https://t.co/mTwWpt4GFv
— I and somebody (@Iandsomebody) 2016, 1月 1
I and somebody さま
こんにちは。実は、このご質問に答えるのか悩みました。というのも僕が利用しているエージェンシーではないので、自分の経験に基づいてお話するのが難しいと思ったからです。ただ、日本での情報が少ない中、他の方たちにもシェアすることでお役に立てるかと思い、わかる範囲で答えさせていただきたいと思いました。
まずひとつ目のリンク、日本でゲイの方を対象にした代理母出産に関してのセミナーが開催されるということですね。このことについては驚きとともに嬉しく思います。代理母出産 (サロガシー) に関しては是非が分かれることではありますが、まずは正しい知識と情報を得ることが様々な議論の一歩だと思っていますので、このセミナーをきっかけに、日本でも冷静で活発な議論につながることを願っています。
セミナーの内容を拝見しました。それによると、
“本セミナーは、アメリカ・カリフォルニア州で20年以上代理出産を手がけるエージェンシー、不妊治療クリニック、専門の法律事務所と、日本語で不妊治療および生殖医療プログラムのコーディネートを行う会社による共同開催です。”
とのこと。
僕は行ったことないのですが、UKで開催された複数のエージェンシーの合同説明会では、その参加者が各エージェンシーのブースを回って説明を受けることができるというのを動画でみたことがあります。(すみません、リンク見つけられませんでした)
今回ご質問のこのセミナーは、それに似たようなもので各団体が独立して情報を提供するのか、それとも4つの団体が関わってひとつのプログラムをサポートするのか、この情報からはうかがい知ることはできません。
エージェンシーを探している身であれば、そこが法律事務所(Law Firm)を兼ねているのかいないのかといったことが重要になってくるかと思います。セミナーに参加されたら聞いてみるといいかもしれませんね。
僕らが選んだエージェンシーは全体的なプログラムのコーディネートはもちろんですが、そのエージェンシーに所属する専門の弁護士がいて法律事務所(Law Firm)も兼ねています。数々の法的手続きも彼らのサポートを受け行います。そしてそのエージェンシーと相談しながら、僕らはクリニックをいくつかある候補の中から自ら選びました。日本語でコーディネートしてくれる会社は利用していません。
これはどちらのほうがいいという話ではありません。アメリカにはたくさんのサロガシーエージェンシーがあり、提供するプログラムは少しずつ違います。エージェンシー選びで大切なのは、自分たちの希望や状況、予算にあったプログラムを受けられるかということだと考えています。
例えば、英語でのやり取りに自信がない方であれば、日本語でプログラムの説明が受けられる、この”日本語で不妊治療および生殖医療プログラムのコーディネートを行う会社”を利用するのはとても魅力的かもしれません。一方で、こちらの会社では利用するクリニックは提携しているところのみのようなので、他のIVFクリニックを選べないなど、その他の選択肢は少し狭まってしまう可能性があるかもしれません。
はじめての方へでも書きましたが、サロガシーの旅というのは、人それぞれ本当にばらばらです。人から見聞きしたものやネットで見つけた情報というのががすべてではありません。人の意見は参考程度にとどめ、疑問に思うことや不安に思うことを丁寧に直接聞いてみること、また、他のエージェンシーとも比較検討することを個人的にはお勧めしたいと思います。
* * *
リンクの二つ目は、そのセミナーを共催する会社のひとつ、日本語で不妊治療および生殖医療プログラムのコーディネートを行う会社のサイト、費用に関してのページでした。
サロガシーの費用に関してはまた、どのようにコメントしたらいいのか悩みました。というのも、エージェンシーのホームページに提示している費用というのは、どこも目安でしかありません。その理由として、サロガシーによる不妊治療は画一的に値段設定ができないからだと思われます。
もちろん費用の設定はエージェンシーごと、クリニックごとによってあるのですが、卵子提供が必要なのか、代理母は保険に入っているのか、何回の排卵サイクルまたは何回まで受精卵の移植は可能なのかなど、依頼者の状況や希望など、さまざまな要素によって金額は変わってきます。
また、サロガシーは不妊治療のプログラムですが、妊娠の全てをコントロールできるわけではありません。生殖補助医療という名のとおり、あくまで補助であり、その行程のいくつかのポイントで、人間の体のサイクルに委ねなければならず、計画した通りにプロセスがすすまないことを理解しなければなりません。それによっての費用の変動が大きいのは致し方ないことかと思います。
なので、これが高いか平均的なのかなど僕にはお答えできかねますが、決して安い金額ではないでしょう。しかし、ものを買うのとは違い命を扱うサロガシーという特性上、代理母や卵子提供者のリスクを最大限に抑えたり、産まれてくる子どもの法律上の手続きなどに充てられることを考えると、これぐらいの金額なのかなとも思いますし、安くなることでサロガシーへのハードルが下がり、安易な考えで子どもを持とうという人へのバリアにもなるのかなとも、感じています。 それらが妥当な額かどうかは、内訳の説明を聞いて、調べて、それを元に他のエージェンシーと比較するのがいいのかと思います。
また元ツイートでもつぶやきましたが、僕らの場合、費用の半分がエージェンシーに行き、残り半分が代理母にいくということはなく、実際には治療費と契約などに伴う弁護士費用のほうが全体の割合からいくと大きいと言えます。ご質問のあったエージェンシーではどういう内訳かは僕はわかりません。
補足的ではありますが、個人的に興味深いなと思ったのは、このエージェンシーでは、日本語対応をしてらっしゃるということで、書類の翻訳や代理母との面会の付き添いと通訳などの費用が含まれているということですね。また、空港までの送迎がついているそうで、そういった細かいサービスによっても値段が変わるのだと思います。
エージェンシーについてのお話は、本ブログ、サロガシーの旅の連載にて近日公開予定ですので、また合わせてご覧いただければと思います。
今回、自分の経験談ではないので、どうしても一般的な書き方しかできませんでしたが、少しでもお役に立てていれば幸いです。
みっつん