【コラム】スウェーデンの絵本から学ぶ「ふつうの家族」ってなんだろう?

【コラム】スウェーデンの絵本から学ぶ「ふつうの家族」ってなんだろう?


日頃より、ブログ『ふたりぱぱ』を訪問いただきありがとうございます。最近は日記的なシリーズ『息子くんへの手紙』を毎日更新しているのですが、不定期で、個人的な随想などをコラムとしてお送りしていきたいと思っています。

 

ということで、今日はスウェーデンの絵本についてのお話。

 


 

今日、息子くんの検診に三人で病院へ行きましたが(その様子はこちら)、ゲイパパであることがなにか特別なこと、といったことはありませんでした。ただ、こういうときに、『これが日本だったら….』と考えなくはありません。やっぱり『ふつうの家族』と『ふつうじゃない家族』に分けられ、後者に入れられてしまうのかな、なんて考えたりします。

 

そんな家族のカタチについて考えると、いつも思い出すスウェーデンの絵本があります。

 

 

”Stjärnfamiljer” (フャーンファミリイェン – 星の家族たち)/ 作 Minna Paananen, 絵 Erika Dobbertin

 

 

と題されたその本。数年前に夫・リカの姪っ子がサンタさんからもらったというその絵本は実はリカのお母さんが贈ったもの。子どもにわかりやすい言葉で書かれたその絵本は、家族のダイバーシティ(多様性)を表現したもの。見開きのページごとに一つの家族が紹介されていて、あわせて11の違うカタチの家族を紹介しています。

 

その中には、パパがふたりいる子ども、ママがふたりいる子ども、ステップファミリー(再婚家庭)できょうだいが増えた子ども、ひとり親の家庭、国際養子縁組で家族になった親子、子どもを持たない家庭、などさまざま。そのほとんどが、その家庭の中にいる子どもを主語にして語られています。例えばこんな風に。

 

  • ミラは二人のお父さんと暮らしている。お父さんたちはミラのくるくるヘアーをいつもブラシでといている。森にキノコ狩りに行くのが好きなんだ。
  • アルヴィンは弟とお母さんと、お母さんの新しい彼女と一緒に住んでいて、ツリーハウスを建てている。
  • ルーカスはとても遠い国からパパとママの家にやってきた、そのとき最初の歯が生えてきたばかりだった。
  • サラのお母さんはとてもいい男性と会った。サラはアントンとミレというふたりの兄弟ができた。
  • アナとアクセルは愛し合うカップル。彼らに子どもはいないけれど、とても幸せな家族。

本文より一部、みっつん訳

 

そのよみやすい文章とともに描かれる絵がまた、とても優しくて素敵なのですが、『男性が女の子の髪をとく』とか、『女性が大工仕事をする』などといった、ジェンダーのステレオタイプに対してもさりげなくあらがっているようです。そしてその本の最後には、この11の家族だけでなく、他にももっといろんな家族のカタチがあるということ言葉も添えられています。

 

 

これを初めて読んだとき、僕らはすでに子どもを持つことに向けて動き始めていたのですが、日本だったら『ふつうじゃない家族』にくくられてしまいそうな、ゲイパパになることに、不安がなかったわけではありません。しかし、そんなときにこの絵本を読んで、ものすごく目の前が晴れるというか、勇気づけられたことを覚えています。

 

そしてそれと同時に、自分の中にも『ふつうの家族』と『ふつうじゃない家族』のくくりがあったことに気づかされ、こんな風に考えたりしたんです。

 

 

 

 

じゃあ『ふつうの家族』って一体なんなんだろう?

………。

………。

………。

そんなのないな。

 

 

 

この絵本のタイトルにあるように、きっと家族のカタチというのは星の数ほどあって、どの家族をとってみても同じものなんてなくって、比べられるものではないんだって。カタチを気にする必要なんてないんだなって。

 

この絵本に出てくる子どもたちはみなそれぞれが主人公であり、誰かに守られ、そして愛されている様子が描かれている。その愛さえあれば、彼らの周りの大人が、ひとりなのかふたりなのか、男性なのか女性なのか、ましてや性的指向がどうかなんては、子どもにとってどうでもいいことなのかもしれない。

 


 

 

実は今日、この絵本について書きたかった理由がもうひとつあります。それがこの“「ふつうの家族」じゃないとダメ? 誰もが「2分の1成人式」に悩まずに済む世の中に”という記事を読んだからです。日本でのふつうじゃない家族 – 定形外家族 が直面する問題について書かれた記事。

 

 

編集者・ライターとして、ひとり親家庭、ステップファミリー(再婚家庭)、LGBT家族、里親・養親家族などなど、さまざまな形の家族の取材をされてきた(本文より)という筆者さんは、最後にこう締めくくっています。

 

これからは徐々に「いろんな形の家族が、実際にいるんだ」ということを社会で可視化し、それが当たり前に受け入れられる世の中にしていくことも必要と思います。

そのために、微力ながら情報を発信していけたらと思っています。

 

これを読みながら、『ああっ! あの絵本をすごく紹介したい!』という渇望がどくどくと湧いてきたのです。そしてその発信を勝手に受けて、それを実現しつつある社会もここにあるよ、というのを知ってもらえたらな、こちらからも微力ながら情報を発信していけたらと思ったのです。

 


 

 

まだこの国に来て5ヶ月。しかも期限付きの滞在の身で、「この国はすばらしい!」なんて言うつもりはありませんが、少なくとも、ゲイパパをやっていて特に困ることはありませんし、むしろ自分がゲイパパであることを忘れるというか、それを意識せず暮らしています。そして僕らのまわりにも実際この絵本に出てくるような国際養子縁組で家族になった人も隠れることなく暮らしています。もう可視化されているのです。

 

それができるのも、こういった絵本が社会の中にあり、次世代を担う子どもたちがそれを読んでいるという背景のおかげかもしれませんし、またそれはそれ以外の努力も含め、一朝一夕でできたものでもないでしょう。

 

海外だったらできるけど日本じゃ無理だよ、と思う方もいるかもしれません。でも僕はそうは思わず、今の日本はただ過渡期なだけで、日本に住む様々なカタチや色をした家族たちも、空に輝く星のように、それぞれ光り輝ける日を未来に向け作っていける、そう信じてこの絵本を今日は紹介させていただきました。

 

最後まで読んでいただきありがとうございます。