前回、第32話 サロガシー、三種類の保険について考える と題し、サロガシーに関わる保険についてについてお伝えした。そのなかでもお伝えした、『生まれてくる子どものための保険』について、今回は新しく得た情報をもとにお伝えしたいと思う。
前回お伝えしたように、僕らのサロガシーの旅のなかで、生まれてくる子どもにかける保険については、退院時までが適用内で、退院後になにかあった場合はすべて実費を払う状態になっていた。米国滞在中に小児科で行う検診などは、実費でも、保険料を払うより安くおさまったが、もし、なにか大きな病気や怪我に見舞われた場合、その治療費は莫大なものになる可能性があった。
僕らは、そのことに気づかないままであったが、先日、このふたりぱぱブログの読者さんで、実際にサロガシーの旅に出ているというAさんという方からメールをいただいた。そこには、生まれてくる子の保険について、彼らが調べたことが書かれていた。ありがたいことに、『これからサロガシーを検討している方々の参考にしてもらえるように』という思いでその情報をシェアしていただいたのだ。
彼らのご厚意に感謝し、今回この記事を書かせていただいた。
Aさんカップルが、保険に入れなかった3つの理由。
Aさんは日本在住で、アメリカでのサロガシーのプロセスに入っている方。既に双子の赤ちゃんの妊娠が確認されていた。Aさんいわく、“無保険で、かつ子供が長期間、集中治療室に入ることになり、医療費が1億くらいになったというケースも聞いてたことがある”ということで、生まれてくる子どもにかける保険を探していた。
数ある保険会社のなかで、サロガシーで生まれてくる子どもにかける保険があるにはあったが、Aさんたちの場合はその保険契約を結ぶことは叶わなかった。その理由は3つある。
- 両親とも、米国外の居住である
- サロガシーによる双子である
- 米国でのサロガシーである
逆にいえば、以上の一つでも回避できれば、入れる保険があったはずだった。
これらの3つの理由について、次に述べる。
米国の一般の健康保険
まず、1.両親とも、米国外の居住であるについて。アメリカにおける一般の健康保険は、加入者が米国居住者であることが必要だったため、 Aさんたちはその保険に加入できなかった。
しかし、生まれてくる子供達は、米国籍も持つことになるので、それで保険に入れないか調べたそうだが、被保険者ではなく、あくまでも加入者が米国在住であることが必要だった。その米国居住者資格は、就労ビザならOKだったが、学生ビザは不可だったそうだ。
米国でのサロガシーを取り扱う保険会社、2社
次にAさんがみつけたのは、次のような保険会社だった。
この2社は、単独妊娠のサロガシーのプランを扱っており、米国外在住のIPも加入できるようだが、Aさんたちの場合、双子を授かっており、これが2.サロガシーによる双子であるために、保険の加入ができなかった理由となった。
米国以外のサロガシーを取り扱う保険会社
またAさんは香港にあるサロガシーのケースを取り扱う保険会社で、生まれてくる子が双子の場合でも加入できる保険をみつけた。しかしその保険は、米国を除く全世界で行われるサロガシーをカバーしているとのことで、加入ができなかった。
Aさんカップルの結論
Aさんたちの場合、以上の理由で加入できる保険がなく、サロガシーのエージェントに相談、そこで紹介してもらった弁護士による交渉プランというものにいきついた。
これは、あらかじめ弁護士にディポジットを支払っておき、高額医療費が生じた場合、その弁護士が病院と医療費の減免を交渉してくれるというもの。Aさんたちのケースでは、ディポジットは$5,000、半額に減免できた場合の成功報酬は$10,000だそうだ。
幸い、Aさんたちのお子さんは順調に育っていて、高額な医療費はかからずに済みそうだということだが、その経験からこのようなことをおっしゃっていた。
“もっと早くこの事を知っていたら、胚を移植するときの判断も変わっていたと思う。これからサロガシーをしようとされている方々には、まずは自分達がどの保険に入れるのか確認してからそのプロセスを進めることを勧めたい”
その思いもあって、ご自身の実体験をシェアしていただけたのだろう。日本語でのサロガシーの情報が限られている中で、とてもありがたいお申し出だった。
今回で、第2章 選択、決断、そして書類の嵐は最終回となる。
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